北の国から”シロクマのtokidoki通信”No.07【利尻山・携帯トイレ編】

【山行形態】 夏山

【日  時】 2012年8月下旬
【場  所】 北海道 利尻山 

【内  容】

 利尻山(1721m)に、過日行く機会があった。利尻山は、最近会のMLで話題の”携帯トイレ”について、M森さんも紹介されていたように国内では他に先駆けて取り組み、すでに定着している先進的取り組みの地であることから、今回はこの”携帯トイレ”の取り組みについてご報告する。

 

 まず、左のポスターをよく見てほしい。”大好きな利尻山を守るために”に続いて、携帯トイレの利用を”アルピニストなら当たり前のこと”と強いメッセージとして伝えている。

 このことばを、皆さんはどう受け止められるだろうか?

 現在、少なくとも”利尻山に登る登山者には当たり前のこと”となっているようだ。(・・たぶん)

  前回、利尻山に訪れたのは十年前、携帯トイレの利用によるし尿の持ち帰りはその当時からすでに取り組まれていたが、携帯トイレの無料配布などその普及を進めている途上であった。   

   ※ 詳細・写真は”続きを読む”をクリック。 

 今回の訪問では、それから十年で、具体の取り組みがどうなっているか楽しみであった。

 実際訪れてみると、この十年で利尻山の携帯トイレの取り組みは、ツアー登山も含め幅広く島外からの登山者にしっかりと浸透している様子を実感した。事実、最近は島内で売られている”携帯トイレ”の販売がほとんど必要がないくらい、登山者や登山ツアー客は事前に”携帯トイレ”を購入、持参して利尻登山に臨んでいるとのこと。山麓・登山口以外には、トイレはなく、その代り鴛泊コースに三か所、沓形コースに二か所計五か所にしっかりした携帯トイレブースが整備されている。今回登って実際見てみても、どのブースもとてもきれいに利用されていた。シーズンを通じても不適切な利用などはほぼないとのことであった。メインの登山コースとなる鴛泊コースの登山・下山口となる北麓野営場の回収ボックスを覗くと、袋にまとめられた使用済みの”携帯トイレ”が大量に納められていた。すごい!!

 この成果は、地元二町の熱意ある継続的取り組みが基本となるが、多くの関係者の協力や取り組みも見逃せない。 

 

 まず、基本として各登山道入り口に両町が管理する回収ボックスが置かれており、各主体が設置した案内板には、携帯トイレの使用の義務付け(お願い)、仮設トイレの位置なども明記されている。 携帯トイレブースも、先に記載したように一定の区間を毎に計五か所設置されており、各主体が連携して基礎的条件を整えている。

 しかし、この地域での携帯トイレの定着を支えているのは、上記基盤整備に加え、各主体の連携した、キメの細かな対応と思われる。

 具体的には、たとえば、利尻へのスタートのフェリーターミナル、船内にも、携帯トイレの使用を含めた”利尻ルール(①携帯トイレをつかう。②ストックにキャップをつける。③植物の上に座らない踏み込まない。)” のポスターが貼られており、島内に入っても、温泉、キャンプ場などの施設、民宿・旅館などの宿泊施設などにも、しっかりとポスターなどが貼られている。また、観光案内所で入手できる「登山ガイド」パンフレットなどにも携帯トイレの使用が記載されており、運輸・観光関係者の協力を含め、多くの主体により周知が図られている。 (利尻は入込の方法が船等限られており、また、通常登山前には一泊が必要なので、宿泊施設等での周知は極めて有効。)

 さらに、だれでも簡単に携帯トイレを入手することができるよう工夫されており、観光案内所、各旅館やコンビニなどの協力えて、島内の多くの場所で”携帯トイレ”を販売している。(実際泊まった旅館にも、ポスターがあり、ためしに聞いてみると、実際に購入することができた。)

 以上、利尻山の取り組みはこのような多くの主体の連携・協力と来島・登山者・ツアー会社の等の理解に支えられて、成り立っていることを強く感じた。

 今回の利尻行での見分は文末の写真などご覧あれ。

 

 利尻山ではこのように、定着している”携帯トイレ”の使用であるが、北海道でも、大雪山や知床など他地域でも取り組みつつあるが、まだまだ、定着しているとは言い難い。利尻は離島であり入込方法が限定されるが、大雪山などは多くの登山道がありロープーウェーの利用があるなど条件の違いあるものの、山稜部での適切なし尿処理が困難な状況の中では、今後進めるべき方向の一つであることは間違いない。

 一方、大雪山などでは、設置された仮設トイレブースで、用便をしたり、使用済み携帯トイレをブースに置き去るなどの事例が発生していると聞く、また、設置された回収ボックスにも、大量の下山時のごみを置き捨てるなど、マナー違反・不適切な利用が後を絶たず、現在大雪山では、やむを得ずボックスにカギをかけ、利用者は近くの施設に声をかけて利用することとなっているとのこと。

 

 普及のための課題としては、当然、回収ボックスの配備、携帯トイレブースの設置等基礎的な基盤整備・管理は不可欠であるが、これと並行して、多様な登山者の層にその必要性の理解を進め、具体の行動に繫げていく必要がある。また、ツアーの主催者などにも訴えかけるなどの幅の広い層への、意識改革に向けた地道な活動が重要であると思われる。

 

 最近、会のメーリングリストでMt.ホイットニーなどの海外での事例や磐梯山など国内他地域の取り組みなどのの紹介があったが、海外では多くの有名な登山ルートではすでに取り組まれているとのこと、いつの日か、日本のどの地域でも携帯トイレによる持ち帰りが”アルピニストなら当たり前のこと”といえる日が来ることを夢見て・・・。          (I江)

 

※ 海外、国内の携帯トイレの利用の取り組み状況など引き続き教えたいただければありがたいです。このブログのコメント欄等への書き込みもぜひお願いしたい。

 

PS,今回、札幌から二泊三日の予定で入った利尻島であったが、二日目が大荒れ、船は全便欠航、山も強風で七合目で撤退した。一日滞在を延長し、結果的に三泊四日となった。翌日は晴天の下、利尻山に登頂したが、やはり、島の登山の難しさを実感した。

 

【行程】

沓形→(車)→見返り第園地→<50m>→避難小屋(沓形コース)→<1h30m>→三眺山→<45m>→沓形・鴛泊コース合流点→<20m>→利尻山(1719m)→<15m>→沓形・鴛泊コース合流点→<45m>→避難小屋(鴛泊コース)→<2h20m>→利尻北麓野営場→(車)→鴛泊

 ※<>内は、区間の登山に要した時間

 <参考>

○利尻での携帯トイレの導入経緯などは下記に詳しい。

 http://www.env.go.jp/park/rishiri/effort/data/090515_1.pdf

http://www.yamatoilet.jp/mtclean/11th_siryou9.pdf

○町のHPでのPR

http://www.town.rishirifuji.hokkaido.jp/guide/manner.html

http://kankou.rishiri.jp/rishirisann7.html

○ツアー企画者へのお願い

http://kankou.rishiri.jp/yama/h21hairyojikou.pdf

○警察も呼びかけています。

http://www.wakkanai-syo.police.pref.hokkaido.lg.jp/kakuka/chiiki/risiri-tozan.html

○観光協会も呼びかけています。

http://www.rishiritou.com/sight/mt_rishiri.html

 

<知床の取り組み>

http://www.yamatoilet.jp/mtclean/siretoko_manner.htm

 

<磐梯山の取り組み>

http://www.urabandai-vc.jp/wp-content/uploads/2012/06/keitaitoire-pamp.pdf

 

<早池峰山の取り組み>

http://www.yamakei-online.com/journal/detail.php?id=1632

 

※ 「北の国から”シロクマのtokidoki通信”」は、2012年7月に北海道に住むこととなったⅠ江が、会の皆さんに忘れられないよう北海道の山やスキー、自然の情報を不定期に発信しすることを目的に、”季節時々(tokidoki)の北海道の情報”を、”ときどき(tokidoki)”、載せていく”予定”のこのブログ上のバャーチャル(仮想)の通信です。 (2012年7月16日創刊)

ターミナル観光案内所で入手できる”登山ガイド”携帯トイレブースの位置や利尻ルールなど登山の注意点など情報満載。ぜひ入手したい。
ターミナル観光案内所で入手できる”登山ガイド”携帯トイレブースの位置や利尻ルールなど登山の注意点など情報満載。ぜひ入手したい。
何回見てもきれいな形の利尻島
何回見てもきれいな形の利尻島
上陸日、北側に出た巨大なつるし雲。やはり翌日は荒天・強風となった。
上陸日、北側に出た巨大なつるし雲。やはり翌日は荒天・強風となった。
上空の天気は良いが、強風でフェリーは全便欠航。山は七合目で撤退。
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