北の国から”シロクマのtokidoki通信”No.35【初冬の上ホロ、強風と晴天の二つの顔】

主稜線、上富良野岳から上ホロ、十勝岳を望む
主稜線、上富良野岳から上ホロ、十勝岳を望む

【山行形態】 冬山 

【日  時】 2013年11月23日(土)~11月24日(日)

【場  所】 北海道 十勝連峰 上ホロカメトック

【メンバー】 I江 他会メンバー   計2名  

     ※ Lは他会メンバー、計画書は他会にて提出

【天  候】 11/23曇りのち吹雪 11/24快晴

【行動概要】
<11/23(土) 曇りのち吹雪>
初冬の趣を早くから見せる十勝 上ホロ周辺は、11月末から12月初めは道内の多くの山岳会の冬山訓練でにぎわう。また、一方、7年前には大きな雪崩事故が起きるなど、初冬の不安定さも併せ持つ地域でもある。

今回は、この地域の概況をつかむことと冬山の基礎技術の確認などを目的に、札幌で所属する会のメンバーとともに自主冬山訓練として入ることとした。深夜札幌を出発し5時40分十勝岳温稜雲閣駐車場に到着。少し仮眠を取り、身支度を整え7:05出発。稜雲閣駐車場は冬山訓練を行う多くの山岳会でにぎわっていた。Zポイントから夏道をたどりD尾根を目指すが、トレースはなく膝上ラッセルとなる。以降基本的に常時ラッセル。D尾根に上がり広い尾根を上富良野岳に向け進むが、ラッセルもあり、時間がかかり、八つ手岩の頭への斜面をのほぼ登り切った1730m付近で12:00時となる。加えて、耐風姿勢をとっても時々まくられるほどの風と、視界不良もあり、この後は稜線歩きとなることから、ここで登高を断念し下山を決定。結果的にこの判断が良かった。
 とりあえず、ツェルトの張れる場所まで降りるとこととし、化け物岩の裏側にあたるD尾根1530m付近の沢状地形の中の吹き溜まりを切り取り、ツェルトを張り、落ち着く。ツェルト設営を完了しすべての荷物を運びこんだのが14:00頃、この後14:30頃から、泊地(ビバーグポイント)付近でも風が強くなり、雪も降ってくる。この風雪は翌3:00頃まで続きいた。ツェルトは斜面を切り取り設営したので比較的強風下でも安定していたが、防風壁や斜面とツェルトとの間に一部に吹きだまりができ、夜間には2回ほど除雪をした。なお、今回は当初から泊はビバーグ訓練の要素を持っていたので、テントでは無く大きめのツェルト、シュラフは夏用の極めて薄いものにシュラフカバーをかけたものとしていた。当然寒かったが、うつらうつらしながらそれなりに断片的な睡眠はとれた。
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<11/24(日) 晴天>
寒さもあり目が覚め、まだ暗いが4:00前に起床。ラジオで天気の回復を確認し士気が上がる。ストーブを焚き、しっかりと朝食を取り7:00時に出発。最初は少し山にガスがかかっていたが、それも次第にとれ、晴天となる。昨日の最高到達地点(1730m)まで一気に登りその先でスノーシューからアイゼンに履き替えた。ここからは稜線歩きで上富良野岳を目指す。昨日はガスでほとんど見えなかったが、登りの右手側には三峰山、富良野岳、左の稜線の向こう側には八つ手岩や三段山、十勝岳など周囲の山々が朝日に映え輝いている。D尾根の稜線を進み上富良野岳への急斜面を登りきるとさらに展望が開け360度の眺望となる。眺めを楽しみながら主稜線を進み9:50上ホロカメトック(1920m)に登頂した。山頂からはウペペサンケ、ニペソツ、石狩岳、遠くには日高の山々も見え素晴らしい景色だ。しばし休みをとり、また、上富良野岳(1893m)経由でD尾根に入り来た道を戻る。上富良野岳の急斜面下の風の当たらない場所で少し長い休みを取った後、全体の地形、各ルートなどを会の先輩に教わり観察しながら下る。八つ手岩の頭を過ぎると冬装備では少し暑いくらいだった。下りながら前方左に見える富良野岳のどっしりとした趣は素晴らしい。順調に下り13:00Zポイント通過13:40十勝岳温稜雲閣駐車場まで無事戻った。
 今回は、リーダーの的確な判断で無理をせず引き返したが、冬山の天候の変化と厳しさを目の当たりにし、状況判断の難しさと大切さを改めて感じた。また、初冬の訓練としては、しっかりとスノーシューでのラッセルも経験し、アイゼン登高も実践・確認できた。また、燃料も食料も潤沢であったが、ツェルト、夏用シュラフで過ごした体験は新鮮であった。二日目には晴天の下、上ホロに登頂でき、素晴らしい初冬の山を体験することができた。
今回の山行は冬山の厳しさと素晴らしさを同時に体験することとなったが、今後もさまざまなリスクに十分注意し、研鑽をつみ更なる冬山に挑戦していきたい。                         

【行程】

<11/23(土)>
1:00札幌⇒15:40十勝岳温稜雲閣駐車場7:05→8:05Zポイント→9:35D尾根上→12:00(1725m)下山判断→12:30泊地(1520M) ※13:40(ツェルト等設営完了)
<11/24(日)>
4:00泊地(1520m)7:00→8:05(1725m)8:15→8:20八手の頭(1750m)8:30→9:20上富良野岳(1893m)9:25→9:50上ホロカメトック(1920m)10:00→10:25上富良野岳(1893m)→10:45上上富良野岳下11:00→11:15八手の頭(1750m)11:30→13:00Zポイント→13:40十勝岳温稜雲閣駐車場⇒札幌

上富良野岳から、上ホロ、奥の三角は十勝岳
上富良野岳から、上ホロ、奥の三角は十勝岳
八つ手岩 冬期登攀の対象となっている。
八つ手岩 冬期登攀の対象となっている。
三峰山と富良野岳
三峰山と富良野岳
Zポイントから上ホロ
Zポイントから上ホロ

※「北の国から”シロクマのtokidoki通信”」は、2012年7月に北海道に住むこととなったⅠ江が、会の皆さんに忘れられないよう北海道の山やスキー、自然の情報を不定期に発信しすることを目的に、”季節時々(tokidoki)の北海道の情報”を、”ときどき(tokidoki)”、載せていく”予定”のこのブログ上のバャーチャル(仮想)の通信です。 (2012年7月16日創刊)

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