『今シーズンも暖冬基調にはあるものの、三月に入ってからの寒の戻りもあって、このところの融雪の進み具合は、異常な昇温に見舞われた二月に比べると若干緩やかかもとの観測の下、旧白河高原スキー場からの往復に出掛けてみました。
スタート地点では晴天でしたが、赤面山付近からは次第にガスが濃くなり、主脈稜線上の清水平ではかなり風も強まり、三本槍までは届きませんでした。復路では、登り以上に藪の歓待を受けましたが、現実逃避気味に滑り込んだ赤面山南斜面では暫し快適な滑走を楽しむことができました。
以下に、当日の概要をご報告します。』
登山口へのアプローチとなる那須甲子道路に雪はなく、漸く栃木・福島県境付近から陽の当たらない路肩に残雪が現れ始めた頃、旧白河高原スキー場跡に到着。駐車場跡地には雪がなくスキーを担ぐが、旧ゲレンデ下部からはシールで登高できた。閉鎖後20年程が経過している模様で、かつてのゲレンデも藪に戻りつつある様子。地形図に掲載されている作業道敷は藪も薄く、上部まで続いており、有難く利用させていただく。2本目のリフト降り場の先に“赤面山登山口”の標識があり、ここからは地形図にも登山道が表示されていたが、積雪のため道型が不明瞭で見失いがちとなり、かなりの藪漕ぎを強いられる。
赤面山に達する頃より、ガスが濃くなり視界が遮られる。稜線上は風の通り道のためか、雪付きが悪く一部シートラで夏道を辿る。スキーの脱着や、藪の回避などで結構時間を要す。前岳を通過後は、山腹を巻き気味に南に折れる夏道と分かれ、尾根を真西に直登する。強風で段差の付いた斜面を登り、清水平の北縁に到る。ガスの切れ間には、三本槍岳も望まれたが、主脈稜線上は一段と風もまったため、シールを外して下山する。
藪の薄い箇所を繋ぎながら、前岳を越え赤面山との鞍部に滑り込む。シールを付けて、赤面山の南側の藪斜面をトラバース気味に東進すると、略真南に無木立の斜面が続いており、やや藪疲れしていたこともあって、一本滑ることとする。雪質も適度なザラメ状で、至極快適な滑走が楽しめた。
再び藪斜面を巻き気味に登高するが、寡雪のため沢状の地形が埋まり切れず、なかなかの苦行となる。稜線に登り返してからも藪スキーとなるが、途中から切り開かれた夏道を忠実に辿ったスノーシューの跡をトレースさせていただき、旧ゲレンデトップへと導かれた。登路と分かれて藪の薄そうな所を滑るうち、北東側に逸れた進路を戻すのにまたひと苦労。幾つもの沢状の横断に時間を要しつつも、一部スキーを担ぐ部分もあったがゲレンデ下部まで滑ることができた。
『那須連峰でのスキーは初めてでしたが、もう少し雪があれば様々なルートがとれる可能性を感じた山行となりました。風と視界不良のため三本槍岳には到達できませんでしたが、山頂からの北面を鏡ヶ沼の辺りまで一度滑ってみたいと思います。』
気象庁HPより
東北北部から北海道に掛けては等圧線が混んでいる。
那須でも主稜線は風が強かった。
衛星画像:高知大学HPより
2024年3月30日、9時
東北北部、太平洋側に掛けて、山脈に平行に波状の雲列が見られる。この様な雲が見られる条件の一つが山頂付近で10m/s以上の風速があること、とされる(気象衛星センターHPより)